語学は若者のものだという思い込みは、語学学習でいちばん高くつく考えです。始める前に人を止めてしまうからです。同時にわずかな真実も含んでいて、だからこそ生き延びています。役に立つ問いの形はこうです。年齢とともに難しくなる部分はどこで、むしろ楽になる部分はどこか。
要点
- 期限があるという証拠は「母語話者並みの文法」に関するもので、下り坂はかなり遅く来ます。約67万人を調べた研究は17歳から18歳あたりを示しました。
- 最初の一年で見れば、大人は語彙も規則も読解も、そして学び方の設計そのものも子どもより速く進みます。
- 早く始めることが明らかに効くのは発音だけです。ほかはすべて時間の問題であり、時間は生物学ではなく予定表の問題です。
臨界期が実際に指しているもの
臨界期仮説はもともと第一言語についての主張でした。思春期まで一切の言語に触れずに育った子どもは、その後も完全には習得できません。これはよく裏づけられていますが、第二言語を学ぶ大人とはほとんど関係がありません。
第二言語については、2018年にMITとボストンカレッジの研究者が調べました。約67万人を対象に、母語話者並みの文法がいつ手の届かないものになるかをモデル化したのです。答えはだれの予想よりずっと遅いものでした。母語話者並みの文法に届く力は17歳から18歳ごろに下がりはじめ、完全な習得には三十年ほどかかる。だから25歳で移住して何十年も話している人でも、最後の一歩だけ届かないことが多いのです。この紹介記事ももとの論文も、言っていないことには慎重です。大人が流暢になれない、とはどこにも書かれていません。言語学者が測るような最後の数パーセントの閉じ方が遅い、と書かれています。
測られている基準に注意してください。「母語話者並み」は研究の物差しであって、人生の目標ではありません。小説を読むにも、働くにも、相手の家族と話すにも、それは要りません。
大人のほうが速い領域
子どもが得るものは二つ、毎日の大量の接触と、恥ずかしがらない心です。それ以外はおおむね大人に有利です。
- 語彙。 語に臨界期はありません。大人は意識的に覚え、すでに持っている概念に結びつけ、間隔反復で週に数十語を取り込めます。
- 近道としての文法。 子どもは何千もの例から過去形を割り出します。大人は規則を教われば、その日の午後に使い、あとから例で確かめられます。
- 転用。 語順が意味を運ぶこと、時制があること、場所によっては丁寧さが文法であること。あなたはもう知っています。五歳児はそれをすべて初めて発見しています。
- 戦略。 何を勉強するか選び、読んでばかりで話す力が伸びていないと気づき、直せます。子どもにその道具はありません。
子どもが本当に勝つところ
発音です。耳は生後一年で母語の音に合わせて調整され、対立しなかった音は物理的に聞き分けにくくなります。だから訓練前の日本語話者には right と light が同じ語に聞こえます。それでも大人は最小対と手ごたえを使った意識的な練習でかなり進めますし、遅く始めた人の多くはだれも気にしない程度の訛りに落ち着きます。母語話者と間違われる人はまれ、というだけです。
二つめの利点は生物学ではなく時間です。子どもには週四十時間の浸かる環境があり、家賃の支払いがありません。
四十代以降に正直に変わること
| 変わること | 影響 | 対処 |
|---|---|---|
| 自由時間が減る | 一回が短く、間隔も不規則になる | 日曜の二時間より毎日十五分 |
| 聞こえる幅がわずかに狭まる | 近い音の聞き分けに時間がかかる | 文字つきの音声で、まず遅く、あとで速く |
| 恥ずかしさが増す | 話す量が減り、話す力だけが育たない | まず安心できる相手ひとりと練習する |
| 判断力は格段に上がる | 何のための言語かがわかっている | それを中心に講座を組み、残りは飛ばす |
どれも天井ではありません。二つは予定表の問題で、一つは人づきあいの問題です。
では何をすべきか
来年ではなく今日始めること。実在する下り坂はゆるやかで、本当の損失は使わなかった時間のほうだからです。どんなに小さくても毎日の枠を守ること。規則性は合計時間に勝つからです。最初の数週間は音と聞き取りに充てること。年齢の代償がいちばん大きい場所なので、注意を向ける見返りもいちばん大きくなります。大人の強みは遠慮なく使うこと。説明を読み、語彙の仕組みを持ち、もともと関心のある題材を選ぶ。そして進み具合は母語話者との比較ではなく、できることで測ること。物差しはCEFRのレベルです。
LinguaPair では
このアプリは、週に四十時間より週に四十分のほうが現実的な大人のために作られています。数分の課、自分で決める一日の目標、そして一日抜けても罰しない連続記録。どのコースも文字と音から始まり、年配の初心者がいちばん辛抱づよい練習を必要とする場所を最初に置いています。発音の課題は、聞き手がいなくても一文を声に出し、どこまで近づいたかを見られます。プレースメントテストがあるので、昔かじった言語のせいで「こんにちは」から始め直すこともありません。そして大人を続けさせるのはアプリではなく、毎晩同じ時間に待っている相手です。だからこの製品は二人を中心に作られています。
