ポルトガルの家庭は温かいですが、打ち解けるまでには時間をかけます。玄関ではおそらく頬に二回のキスと礼儀正しい muito prazer、そのあとは次々に料理が増えていく食卓です。そのあいだに、ご両親はあなたがどんな人かを静かに見ています。最初の訪問は長い日曜の昼食になることが多く、目に留まるのは小さなことです。どう呼びかけるか、おいしそうに食べるか、自分たちの言葉を話そうとしたか。丁寧に口にした数フレーズは、完璧な発音以上に伝わります。
ここではヨーロッパポルトガル語、つまりポルトガルのポルトガル語の30フレーズをカタカナの読み付きで紹介します。続いて、ポルトガルの家庭が当然と考えるマナー、ブラジルのポルトガル語を学んだ場合に違う点、よくある間違い、2週間の練習プランです。家庭によって、地域や世代によって違うので、すべて傾向として読み、恋人に自分の家に合わせて直してもらいましょう。
ポイント
- ご両親が最初に耳にするのは呼びかけ方です。まず o senhor、a senhora、または名前の前に Senhor、Dona をつけ、動詞は三人称で話します。trata-me por tu(tu で話してね)と言われるまではそのままで。年配の人に você とだけ言うと、ポルトガルではぶっきらぼうに聞こえることがあるので、多くの人は避けます。
- あいさつはご両親に合わせます。女性同士と男女の間では頬に二回のキス、男性同士は握手が一般的で、決めるのは年長の人です。
- 昼食こそが本番です。何でも味見し、勧められたら少しおかわりし、手伝いを申し出て、コーヒーまで残りましょう。
訪問の前に
- 家族がどう話し合っているかを恋人に聞きましょう。 一時間で tu に移る親もいれば、改まった形を長く続ける親もいます。友人たちがご両親をどう呼ぶか、肩書きを使う人がいるかも聞いておきましょう。
- 手土産を持っていきましょう。 ワイン、おいしいチョコレート、pastelaria(菓子店)の焼き菓子の箱、自分の国のものなら間違いありません。お母さんに花も喜ばれますが、菊は墓地を連想する人が多いので避けましょう。
- 時間どおりか、それに近い時間に。 家での食事なら、約束の時間ちょうどから10~15分後までが一般的です。早く着くと、まだ料理の最中かもしれません。日本の感覚で早めに着くのは控えめに。恋人が「うちはいつも遅い」と言うなら信じましょう。
- 午後は空けておきましょう。 日曜の昼食はスープからコーヒーまで午後遅くまで続くことがあり、食後すぐに帰ると楽しくなかったように見えます。
30のフレーズ
読みはポルトガルの発音に合わせています。長音の部分に強勢があると考えてください。大事なことが三つあります。強勢のない母音はほとんど消えるので、desculpe は「デシュクルプ」となります。語末や子音の前の s は「シュ」で、está は「シュタ」です。te と de は短いままで、「チ」「ヂ」にはなりません。m、n の前の母音と語尾 -ão は鼻に抜ける音で、語頭の r はのどの奥でこする音です。男性は obrigado、女性は obrigada と言います。話す人に合わせる言葉です。○○ には名前や言葉を入れます。
あいさつと最初のひとこと
| ポルトガル語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| Boa tarde! Como está? | ボア タルド!コム シュタ? | こんにちは!お元気ですか。昼食の前なら bom dia。動詞の三人称が丁寧な形です。 |
| Muito prazer! | ムイント プラゼール | はじめまして、どうぞよろしく。 |
| Sou o ○○ / a ○○. | ソ ウ ○○/ア ○○ | ○○です。ポルトガルでは名前の前にふつう o か a をつけます。 |
| Tenho muito gosto em conhecê-los. | テーニュ ムイント ゴシュトゥ エイン クニェセルシュ | お会いできてとてもうれしいです。ご両親お二人に言います。 |
| O ○○ fala-me muito da família. | ウ ○○ ファラム ムイント ダ ファミーリャ | ○○さんからご家族のことをよく聞いています。女性なら a ○○。 |
| Obrigado pelo convite. | オブリガード ペル コンヴィート | お招きいただきありがとうございます。女性は obrigada。 |
呼びかけとお願い
| ポルトガル語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| Senhor ○○, Dona ○○ | セニョール ○○、ドナ ○○ | 名前につける敬称。目上の人への、敬意のある日常的な呼び方です。 |
| Trouxe-lhes uma lembrança. | トロス リェシュ ウマ レンブランサ | ささやかなものをお持ちしました。 |
| Ainda estou a aprender o português de cá. | アインダ シュト ア アプレンデール ウ プルトゥゲシュ ド カ | こちらのポルトガル語をまだ勉強中です。 |
| Pode falar um bocadinho mais devagar, por favor? | ポド ファラール ウン ブカディーニュ マイシュ デヴァガール、プル ファヴォール? | もう少しゆっくり話していただけますか。 |
| Desculpe, pode repetir? | デシュクルプ、ポド レペティール? | すみません、もう一度お願いできますか。 |
| Como é que se chama isto? | コム エ ク ス シャマ イシュトゥ? | これは何と言いますか。 |
食卓で
| ポルトガル語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| Que casa tão bonita! | ク カーザ タオン ブニータ! | すてきなお宅ですね! |
| Cheira muito bem! | シェイラ ムイント ベイン! | とてもいい香りです! |
| Está uma delícia! | シュタ ウマ デリスィア! | とてもおいしいです! |
| Foi a senhora que fez? | フォイ ア セニョーラ ク フェシュ? | ご自分で作られたのですか。男性には foi o senhor。 |
| Só mais um bocadinho, se faz favor. | ソ マイシュ ウン ブカディーニュ、ス ファシュ ファヴォール | もう少しだけお願いします。 |
| Pode passar-me o ○○, se faz favor? | ポド パサールム ウ ○○、ス ファシュ ファヴォール? | ○○を取っていただけますか。女性名詞なら a ○○。 |
| Já estou satisfeito, obrigado. | ジャ シュト サティシュフェイトゥ、オブリガード | もうおなかいっぱいです、ありがとうございます。女性は satisfeita, obrigada。 |
| Posso ajudar a levantar a mesa? | ポス アジュダール ア レヴァンタール ア メーザ? | 片づけをお手伝いしましょうか。 |
会話
| ポルトガル語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| Sou de ○○. | ソ ド ○○ | ○○の出身です。 |
| Trabalho em ○○. | トラバーリュ エイン ○○ | ○○で働いています。 |
| Estou a gostar muito de Portugal. | シュト ア グシュタール ムイント ド プルトゥガル | ポルトガルがとても気に入っています。 |
| Conhecemo-nos em ○○. | クニェセームヌシュ エイン ○○ | ○○で知り合いました。 |
| O ○○ é muito especial para mim. | ウ ○○ エ ムイント シュペスィアル パラ ミン | ○○さんは私にとってとても大切な人です。女性なら a ○○。 |
お礼と別れ
| ポルトガル語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| Muito obrigado por tudo. | ムイント オブリガード プル トゥード | いろいろと本当にありがとうございました。女性は muito obrigada。 |
| Foi um prazer conhecê-los. | フォイ ウン プラゼール クニェセルシュ | お会いできてうれしかったです。 |
| Está a ficar tarde, temos de ir andando. | シュタ ア フィカール タルド、テームシュ ド イール アンダンドゥ | 遅くなってきたので、そろそろ失礼します。帰り始めるときの丁寧な言い方です。 |
| Espero vê-los em breve. | シュペール ヴェルシュ エイン ブレーヴ | またすぐお会いできますように。 |
| Até à próxima! | アテ ア プロスィマ! | また次の機会に! |
ポルトガルの家庭が当然と考えるマナー
- あいさつは年長の人に合わせます。 頬に一回ずつ、音よりも触れる程度の二回のキスは、女性同士や男女の間でよく行われます。男性同士はふつう握手で、親しい家族ならハグが加わることもあります。初対面では一瞬待ちましょう。手を差し出されたら握手、頬が近づいてきたらキスです。お辞儀だけで済ませず、部屋にいる全員に、祖父母から順にあいさつします。
- 呼びかけには段階があります。 tu は家族と友人向けです。敬意は三人称で表します。o senhor、a senhora、Senhor António、Dona Maria、あるいは como está? のように動詞だけでも構いません。Dona は名字ではなく名前につけます。ご両親が trata-me por tu と言ったら、素直に応じましょう。
- 肩書きが本気で使われることもあります。 大学を出た人には Senhor Doutor、Senhora Doutora、技術者には Senhor Engenheiro。家より職場で耳にしますが、年配の世代には私的な場でも使う人がいます。ご両親がそれを期待しているかは恋人が知っています。
- 日曜の昼食にはリズムがあります。 何世代かで一つの食卓を囲むことも多く、スープ、bacalhau(干し鱈)や肉のローストなどのメイン、デザート、そして um café。ご両親が食べ始めるか、誰かが bom apetite と言うまで待ちましょう。
- 手伝いを申し出て、答えを受け入れましょう。 Posso ajudar a levantar a mesa? は断られても意味があり、初めての訪問では断られることが多いものです。招かれないのに台所に入るのは避けます。
- 食べながら料理をほめましょう。 Está uma delícia! や foi a senhora que fez? からレシピの話が始まります。おかわりを勧められたら少しだけいただくのが簡単で、já estou satisfeito が丁寧な断り方です。
- 会話はゆっくり温まります。 家族や仕事、将来の予定を聞かれるのはふつうのことです。サッカーの話が出たら、どちらかの味方をするより、どのクラブを応援しているか尋ねるほうが無難です。
ブラジルのポルトガル語を学んだなら
同じ言語に二組の習慣があるだけで、どちらかが正しいわけではありません。ご両親はブラジルのポルトガル語を理解できますし、多くの人は努力を喜んでくれますが、耳にするのは学んだものとは違います。estou aprendendo ではなく estou a aprender、me passa ではなく passa-me、a gente se conheceu ではなく conhecemo-nos と言います。日常の単語も変わります。telemóvel、pequeno-almoço、casa de banho などです。いちばん大きいのは聞こえ方で、強勢のない母音が落ちるので、最初はゆっくり話してくれるよう恋人に頼みましょう。同じ訪問のもう一方の姿はブラジル人の両親に会うときをご覧ください。
よくある間違い
- você や名前で呼ぶのが早すぎる。 変えるよう言われるまで、o senhor、a senhora、Dona Maria を続けましょう。
- スペイン語で話して通じることを期待する。 理解できる人は多いですが、gracias より obrigado のほうがずっと喜ばれますし、ポルトガルはスペインの一地方ではありません。
- obrigado と obrigada を間違える。 話す人に合わせる言葉で、お礼を言う相手ではありません。
- 料理をきっぱり断る。 アレルギーや食事の決まりがあれば、家族が準備できるよう事前に恋人に伝えましょう。はっきり断るより少しいただくほうが好まれます。
- 食後すぐに帰る。 少なくともデザートとコーヒーまでは残りましょう。
- 早く着きすぎる、手ぶらで行く。 どちらも大失敗ではありませんが、簡単に避けられます。
2週間の練習プラン
- 1~3日目:玄関。 最初の6フレーズを毎日声に出して録音します。力を抜いて落としてよい母音を聞き取りましょう。
- 4~6日目:食卓。 家での実際の食事で料理のフレーズを練習します。só mais um bocadinho, se faz favor も忘れずに。
- 7~9日目:質問。 仕事、家族、自分の国、二人の出会いについて短い答えを準備します。恋人がご両親役になり、あなたは三人称で答えます。
- 10~12日目:訪問全体。 玄関のチャイムから está a ficar tarde まで、頬のキスとコーヒーも含めて通してみましょう。
- 13~14日目:仕上げ。 各フレーズで音を一つ直し、必ず使う10フレーズを選びます。
LinguaPair で準備する
LinguaPair の考え方はシンプルです。あなたは恋人の言語を、恋人はあなたの言語を学びます。恋人を招待すると二人のアカウントがペアになり、あなたは自分のヨーロッパポルトガル語コースを短いレッスンで進めます。A0 と A1 のレベルは無料で、お互いのレベルと連続学習日数が見えます。このコースはポルトガルのポルトガル語を教えるもので、ブラジルのコースとは別なので、恋人の家族が話すほうを選びましょう。翻訳バトルや単語レースのような対戦ゲームは二人の単語から作られるので、上のフレーズで勝負できます。そして当日は、リアルタイム翻訳が一台のスマートフォンで食卓に置けます。それぞれが自分の言語で話せば一言ずつその場で訳されるので、ご両親は本当に聞きたいことを聞け、あなたも笑顔だけでなく言葉で答えられます。会話に出てきた単語は単語トレーナーにたまり、次の昼食に役立ちます。ゲームと無制限の翻訳は Premium に含まれ、一つのサブスクリプションで二人とも使えます。
同じ訪問でも国が変われば大きく違います。スペイン語圏の両親に会うときやイタリア人の両親に会うときと比べてみてください。結婚式が次の一歩なら恋人の言語での乾杯と誓いの言葉へ、最初のひとことなら恋人の言語で「愛してる」を伝える方法へどうぞ。
